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AI市場、アジア新興企業の躍進が問いかける未来とは?

AI市場、アジア新興企業の躍進が問いかける未来とは?

AI市場、アジア新興企業の躍進が問いかける未来とは?

「AIといえばシリコンバレー」という構図は、この数年で大きく崩れつつある。アジア太平洋地域では投資・人材・インフラのあらゆる面でAIへの傾斜が強まっており、グローバルなAI産業の重心が変わりつつある兆しが見える。

IDCの調査によれば、アジア太平洋地域のAI・生成AI投資は2023年から2028年にかけて年平均24.0%で成長し、2028年には1,100億ドル規模に達すると予測されている(出典: IDC調査に基づく報道「Asia/Pacific AI Investments to Reach $110 Billion by 2028」2025年 https://cioaxis.com/industry/asia-pacific-ai-investments-to-reach-110-billion-by-2028-idc-reports)。ソフトウェア・サービス・ハードウェアの全領域で投資が加速しており、エコシステム全体が膨張している。モバイルアプリにおけるAI活用も同様の勢いを見せており、アジア太平洋地域のAI搭載モバイルアプリ市場は2024年の118億ドルから2034年には2,081億ドルへ、年平均33.3%で成長すると予測されている(出典: market.us「Asia Pacific AI In Mobile Apps Market」2025年 https://market.us/report/asia-pacific-ai-in-mobile-apps-market/)。

半導体面では、NVIDIAの製品が引き続き注目される一方、それを支える高速メモリでは韓国のSKハイニックスとサムスン電子が圧倒的な存在感を示している。台湾のTSMCは、NVIDIAのAI半導体を支える先端パッケージング技術「CoWoS」の供給元として、AIサプライチェーンの要となっている。

国別に見ると、インドの存在感が際立つ。BCGが2025年7月に実施したアジア太平洋9カ国の調査では、インドの労働者の92%が定期的にAIを業務で利用しており、世界で最も高い普及率を記録した(出典: BCG「Asia Pacific Leads the World in AI Adoption While Grappling with Job Fears, BCG Survey Finds」2025年10月30日 https://www.bcg.com/press/30october2025-asia-pacific-leads-ai-adoption)。市場規模については、IDCがインドのAI関連支出を2027年までに60億ドル規模へ拡大すると予測しており(出典: IDC予測に基づく報道 indiaai.gov.in「IDC forecasts AI spending in India expected to reach $6 billion by 2027」2025年 https://indiaai.gov.in/article/idc-forecasts-ai-spending-in-india-expected-to-reach-6-billion-by-2027)、インド政府系シンクタンクのNITI Aayogは、AI導入の加速によって2035年までにGDPを5,000億~6,000億ドル押し上げる可能性があるとしている(出典: NITI Aayog報告に基づく報道「AI adoption can boost India’s GDP by $500-600 bn by 2035」2025年 https://www.thehansindia.com/amp/business/ai-adoption-can-boost-indias-gdp-by-500-600-bn-by-2035-niti-report-1006704)。

中国では、月之暗面(Moonshot AI)が開発した推論モデル「Kimi K2 Thinking」が2025年11月に米国の検索AI企業Perplexityに採用され、国際的な技術力が評価されている(出典: aibase「Domestic AI Model Kimi K2 Successfully Integrated with Perplexity」2025年11月 https://news.aibase.com/news/22897)。生成AI市場の規模については調査会社によって推計に大きな幅があり(数十億ドル台の予測から2030年時点で200億ドル近いとする予測まで分かれる)、本稿では単一の数値の断定を避ける。

韓国では、AIとロボティクスでコマースの詳細ページ生成を自動化するStudioLab、遺伝子ベースの健康管理を手がけるJENNER Bio、製造業向けにAI電力最適化ソリューションを開発するTildaといったスタートアップが台頭している。これら3社は2025年12月1日、韓国・仁川で日本の産業現場との技術検証を本格化させたと報じられている(出典: KORIT「AI・バイオ・エネルギー分野の韓国スタートアップ、日本の産業現場で技術検証を本格化」2025年12月1日 https://www.korit.jp/news/startup/studiolab-tilda-jennerbio-incheon-251201/)。

この波を捉えるうえで重要なのは、アジアが単に欧米の技術を模倣しているのではないという点だ。インフラが未整備な地域での金融包摂や多言語対応など、自国の課題解決のためにAIを適用し、そこで培った技術を周辺国へ展開する戦略が目立つ。スマートフォン普及が先行したことで現場データが豊富に蓄積されている点、各国政府がAIを国家戦略の柱と位置づけ研究開発・人材育成・インフラ整備に資金を投じている点も、欧米とは異なるダイナミズムを生んでいる。

投資家にとっては、AI半導体・高速メモリ・データセンターといったインフラ関連企業への投資に加え、特定の産業課題に深くコミットするニッチな垂直統合型ソリューションへの目配りが重要になる。技術者にとっては、異文化理解と協業能力、多言語対応や現地の法規制に配慮したローカライズ開発の専門性、データ保護・AIの公平性に関する知識の重要性が増していく。

日本にとっても、この動きは無関係ではない。韓国スタートアップが技術検証の場として日本を選んでいるように、精密なロボティクスやセンサー技術、災害対策AIといった日本の強みを生かしたパートナーシップの機会が広がりつつある。技術の経済的価値だけでなく、雇用構造の変化やデータプライバシー、AIの公平性といった社会的影響まで見据えた議論が、投資家・技術者の双方に求められる局面にある。


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