目次
結論
2026年4月から、出入国在留管理庁は日本語教育機関(日本語学校)に対し、3か月に1度、在籍する全留学生の資格外活動(アルバイト)状況を確認することを求めている。確認すべき項目は「資格外活動許可の有無」「活動先(複数の場合はその全て)」「活動内容」「活動時間」の4点。確認方法は自己申告を含む任意の方法でよいが、違反が見つかれば直ちに指導・改善確認を行い、改善しない場合や週28時間超の勤務強要の報告があった場合は最寄りの出入国在留管理官署への報告が求められる。この変更は法改正ではなく、令和8年1月23日の関係閣僚会議決定を踏まえた出入国在留管理庁の運用見直し(令和8年4月10日付周知)である。
この見直しが適用される前提と例外
- 根拠は出入国在留管理庁が令和8年4月10日付で日本語教育機関に周知した運用見直し(「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」施策番号31・33に基づく)1。告示基準そのものの条文改正ではなく、既存の枠組みの中での運用強化という位置づけである。
- 対象は「留学」の在留資格を持つ留学生を受け入れる日本語教育機関で、出入国在留管理庁の概要ページの記載上は認定日本語教育機関(留学課程)および告示日本語教育機関の双方が対象となる2。専門学校・大学等、日本語教育機関以外の受入れ機関への同様の要請は、公表されている一次資料の宛先が一貫して「日本語教育機関」であるため確認できていない。
- 確認方法は「任意」であり、公表されているQ&AのQ7「生徒の自己申告でもよいですか」に対し「差し支えありません」と回答されている3。ただし、入管庁から求めがあれば把握方法や指導内容を具体的に説明できる体制の整備が前提になる。
- 週28時間の確認は、暦月の合計や月〜日の暦週合計では不十分である。Q&AのQ9は「日々の資格外活動時間を把握し、どの曜日から起算しても週28時間以内に収まっていることの確認」を求めている3。つまり任意の起算日で7日間ローリング集計する必要がある。
- この運用見直しと、告示基準第1条第1項第39号に基づく既存の報告義務(1か月の出席率が5割を下回った留学生について、資格外活動先の名称を翌月末までに報告)は別建てのスキームである4。前者は「全留学生・3か月ごと」、後者は「出席不良者のみ・毎月」で対象と頻度が異なるため、どちらか一方を満たせば足りるわけではない。
実務での確認手順(3か月サイクル)
- 3か月に1度、在籍する全留学生を対象に、(1)資格外活動許可の有無、(2)活動先(複数ある場合はその全て)、(3)活動内容、(4)活動時間を確認する。方法は面談・書面アンケート等の任意でよく、自己申告でも差し支えない1 3。
- 入管庁から複数就労者として情報提供を受けた学生については、とりわけ慎重に確認する1。
- 週28時間の遵守状況は、暦週や暦月の単純合計ではなく、日々の活動時間を積み上げて、どの曜日を起算日にしても直近7日間で28時間以内に収まっているかを確認する3。
- 許可内容に違反すると認められる場合(無許可就労、許可を超える活動先での就労、週28時間超過など)は直ちに指導し、状況を改善させる。
- 改善後、状況が改善されたことを改めて確認する。
- 確認結果と指導内容(いつ・誰が・何を指導し、いつ改善を確認したか)を記録し、保存する。入管庁から求めがあれば、把握方法や指導内容を具体的に説明できる状態にしておく3。
- 指導しても改善が見られない場合や、留学生本人から「雇用主が週28時間を超える勤務を強いている」等の報告があり不法就労が疑われる場合は、最寄りの出入国在留管理官署に報告する1。
- (別建て・既存義務)月次で出席率を算出し、5割を下回った留学生については、資格外活動の許可がある場合に活動先名称と併せて翌月末までに地方出入国在留管理局へ報告する4。
チェックリストまたは判断表
| 確認項目 | 頻度 | 対象 | 何を確認するか | 未実施・違反時の扱い |
|---|---|---|---|---|
| 資格外活動の把握 | 3か月に1度 | 在籍する全留学生 | 許可の有無/活動先(複数可)/活動内容/活動時間 | 適正に管理する体制が整備されていないと判断され、上陸基準省令第2号の2に抵触するおそれがある3 |
| 複数就労者の重点確認 | 情報提供の都度 | 入管庁から情報提供のあった学生 | 同上4項目 | 通常より慎重な確認が求められる |
| 週28時間の遵守 | 日次記録・3か月ごとに確認 | 資格外活動許可のある全留学生 | 任意の起算日で7日間ローリング28時間以内か | 超過や勤務強要の報告があれば指導、改善なければ出入国在留管理官署へ報告 |
| 出席率5割未満の報告(既存・別建て) | 毎月(該当者発生時) | 出席率5割未満の留学生 | 資格外活動許可の有無・活動先名称 | 翌月末までに地方出入国在留管理局へ報告 |
よくある誤解と失敗条件
「月間の合計時間が28時間×4週=112時間以内なら大丈夫」という誤解がある。Q&AのQ9は暦月・暦週の単純合計ではなく、どの曜日から数えても直近7日間で28時間以内であることの確認を求めている。月末月初をまたぐ勤務シフトでは、暦月単位の集計だけでは超過を見落としやすい。
「自己申告制にしておけば入管庁への説明責任を免れる」という誤解もある。Q&AのQ7は自己申告そのものを否定していないが、入管庁から求めがあれば把握方法や指導内容を具体的に説明する義務がある点は変わらない。自己申告を採用する場合でも、確認・指導の記録は残す必要がある。
「今回の3か月ごと確認は、出席率5割未満の報告義務(告示基準39号)と同じもの」という誤解も見られる。前者は全留学生を対象に3か月ごとに学校側が能動的に確認するもの、後者は出席不良者に限り毎月・翌月末までに官署へ報告するものである。対象・頻度・報告先の性格が異なる別建てのスキームであり、片方の運用だけでもう片方を満たしたことにはならない。
「これは入管法の条文改正だから、施行日以降でないと対応不要」という誤解にも注意したい。今回の変更は告示基準の条文改正ではなく、既存の枠組みの中での運用強化(行政指導)であり、令和8年4月から既に運用が始まっている。施行日を待って準備を始めると、初回の3か月サイクルに間に合わない可能性がある。
まとめ
2026年4月からの運用見直しは、日本語学校に「3か月ごとの全留学生の資格外活動確認」という新しい定期業務を課す一方、確認方法自体は自己申告を含む任意の方法を認めている。実務上の負担は、確認そのものよりも「週28時間をどの曜日起算でも超えていないかの日次集計」と「確認・指導の記録を、求めがあればいつでも説明できる形で保存すること」に集中する。
こうしたアルバイト先の登録・週28時間の3段階アラート・入管庁参考様式のExcel自動出力・指導記録の作成支援を、日本語学校向け学生管理システム Studel が機能として提供している。
本記事は出入国在留管理庁が公表する一次資料に基づく実務上の整理であり、法的助言ではない。個別の事案への適用や確認・報告の具体的な運用については、所轄の地方出入国在留管理局または行政書士等の専門家に確認すること。
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出入国在留管理庁「在留資格「留学」に係る適正化について」(概要資料) https://www.moj.go.jp/isa/content/001461177.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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出入国在留管理庁「日本語教育機関に入学する者に係る運用の一部見直しについて」 https://www.moj.go.jp/isa/10_00258.html ↩
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出入国在留管理庁「日本語教育機関に入学する者に係る運用の一部見直しについてのQ&A」(令和8年5月19日現在) https://www.moj.go.jp/isa/content/001462458.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
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出入国在留管理庁「日本語教育機関の告示基準に基づく各種報告について」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00218.html ↩ ↩2