中国自動運転の雄Neolix、6億ドル調達の真意とは?ラストマイル配送の未来は何が変わるのか?
中国の自動運転企業Neolix(新石器)が2025年10月24日、シリーズDラウンドで6億ドル超(約900億円)を調達したと発表した。中国自動運転業界における過去最大規模の未上場企業向け資金調達だという。調達を主導したのはアラブ首長国連邦(UAE)拠点のStone Ventureで、Gaocheng Capital、CITIC Capital(信宸資本)、CDH(鼎暉投資)、Sparkedge Capital(朝希資本)、Beijing AI Fund(北京市人工智能産業投資基金)、Legend Capital(君聯資本)、Gaorong Ventures(高榕資本)、Templewaterに加え、中国大手インターネットプラットフォーム企業(社名非公表)も参加し、既存株主のYunqi Partnersも追加出資した(出典: PR Newswire「Neolix Raises US$600+ Million in Series D Funding, Setting New Record for Private Financing of China’s Autonomous Driving Industry」2025年10月24日 https://www.prnewswire.com/news-releases/neolix-raises-us600-million-in-series-d-funding-setting-new-record-for-private-financing-of-chinas-autonomous-driving-industry-302593531.html )。
Neolixは、L4レベルの自動運転配送ソリューション「RoboVan」の世界最大級のプロバイダーを標榜する。同社によれば、これまでに15カ国300都市に10,000台を超えるL4自動運転車両を展開し、累計5,000万キロメートル以上の実路走行データを蓄積、特許出願は1,500件を超えるという。2025年10月には、アブダビ拠点のK2 Groupと提携し、UAEで初のRoboVanライセンスを取得したことも明らかにしている(出典: 同上 PR Newswire発表)。
彼らの無人配送バンは、ラストワンマイル配送、都市物流、宅配便、生鮮食品・コールドチェーン配送などに投入されている。自動運転ドメインコントローラーと通信ドメインコントローラー、シャシーコントローラーを統合したアーキテクチャに加え、マルチモーダルBEV空間4D時空間融合知覚技術と2基のLiDARによる360度環境認識を採用し、高精度マップに依存しないマップレス自動運転技術を商用展開している点が特徴だ。中国証券会社Soochow Securitiesは、2025年の中国国内販売台数が3万台を超えると予測している(出典: PR Newswire 前掲記事)。
投資家にとって、ラストマイル配送は自動運転技術のなかでも比較的早期に収益化が見込める領域とされる。乗用車の自動運転はまだ法規制や倫理面の課題が残る一方、限定エリアでの物流は導入障壁が相対的に低い。Neolixが示すように、技術とビジネスモデルが成熟すれば、一定の規模で事業を拡大できる可能性がある。
技術者にとっては、「マップレス自動運転技術」や「マルチモーダルBEV空間4D時空間融合知覚技術」といった要素技術が、自動運転の汎用性を高める方向性を示している。高精度マップの整備・維持には多大なコストがかかるため、マップ依存を減らす設計は、導入コストと運用負荷を抑える上で重要な技術トレンドの一つだ。
Neolixは2025年9月に日本の自動運転団体Autowareに加盟したほか、同年7月には韓国・仁川広域市と戦略提携を締結するなど、国際展開を加速させている。中国国内で培った大規模実証データと運用ノウハウが他地域でも通用するかどうかは、各国の法規制やインフラ、消費者ニーズへの適応力にかかっている。
自動運転車両の普及は、運転手の雇用機会が減少する一方で、車両の設計・製造・メンテナンス・運行管理・データ分析といった新たな職種を生み出す。技術面だけでなく、事故発生時の責任の所在や、収集データのプライバシー保護といった社会的な課題への対応も、業界全体として避けて通れないテーマとなっている。