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「Glance AI」が描く未来の消費体験、SoftBankの戦略

「Glance AI」が描く未来の消費体験、SoftBankの戦略。

「Glance AI」が描く未来の消費体験、SoftBankの戦略の真意とは?

SoftBankがロック画面配信サービス「Glance」を提供するGlance社のAI機能「Glance AI」を、自社スマートフォンに搭載し始めている。SoftBankは2023年4月から約40機種・約400万台にGlanceサービスを導入しており、2025年11月13日発売の「AQUOS sense10」には、SoftBankのスマートフォンとして初めてGlance AIが搭載された(出典: SoftBank「AI活用の新しいショッピング体験を楽しめる『Glance AI』が『AQUOS sense10』に搭載」https://www.softbank.jp/mobile/info/personal/news/product/20251031a/ )。

Glance AIが目指す「没入型コマース」

Glance AIの柱の一つは、生成AIと没入感のあるビジュアル技術の融合だ。ファッション分野では、ユーザーの写真をもとにAIがおすすめの服を着た画像を生成し、気に入れば類似商品を検索してそのまま購入へ誘導する。従来のECサイトが抱える「試着できない」という壁を技術で乗り越えようとする試みと言える。Glance社はGoogle・Jio Platforms・Mithril Capitalから出資を受けている。

もう一つの柱が、Gemini 1.5 Proモデルを使った金融分析機能だ。銘柄コードから競合他社データやPER・クイックレシオといった財務指標を抽出し、ダッシュボードで提供する。RAG(Retrieval-Augmented Generation)とYFinanceを組み合わせた構成で、この取り組みはGoogleのGemini API Developer Competitionのプロジェクトとしても紹介されている(出典: Google AI for Developers「Glance AI」https://ai.google.dev/competition/projects/glance-ai )。Glanceは金融分野を皮切りに、製造・農業・ヘルスケアなど多様な業界にAIを統合する「Fusion State Systems」構想を掲げている。

SoftBankの狙い

通信のコモディティ化が進む中、SoftBankにとってロック画面は数少ない自社がコントロールできるユーザー接点だ。Glance AIをOSレベル・デバイスUI/UXに統合することで、単なる通信インフラ提供者から、ユーザーの生活に入り込む「ライフスタイル・パートナー」への転換を図る狙いがあるとみられる。PayPayやYahoo!ショッピングなどグループサービスとの連携が広がれば、ロック画面がグループエコシステム全体への入り口になる可能性もある。

投資家として見るべき点

現時点で収益モデルの詳細は公表されていないが、没入型コマースのトランザクションフィーや金融分析のサブスクリプションなど、複数の収益源が想定され得る。Glance社はインド市場で実績を積んでおり、そのノウハウが日本のようにプライバシー意識が高く既存サービスへのロイヤルティが強い市場でどこまで通用するかが焦点になる。Apple・Google・Samsungもそれぞれパーソナライズ機能を強化しており、Meta・Amazonもコマース分野のAI活用に積極的な点は競争環境として押さえておきたい。

技術者として見るべき点

ロック画面という制約された表示領域でリアルタイムかつパーソナルな体験を提供するには、エッジ側のAI処理能力向上が欠かせない。画像・テキスト・音声を横断するマルチモーダル処理、フェデレーテッドラーニングや差分プライバシーといったデータ保護技術、金融分析のような専門領域での説明可能性(XAI)も実装上の論点になる。

課題

顔写真や行動履歴といった機微なデータをロック画面上で扱う以上、プライバシー保護とデータ利用の透明性は最優先事項になる。生成コンテンツの公平性・正確性の担保や、ユーザーが「押し付けがましさ」を感じずに能動的に関われる体験設計も、普及の可否を左右する要素だ。

まとめ

  • SoftBankは2025年11月13日発売の「AQUOS sense10」に、自社スマホとして初めてGlance AIを搭載した(出典は前掲のSoftBank発表)。既存のGlanceサービスは約40機種・約400万台に導入済み。
  • Glance AIはファッションのバーチャル試着(没入型コマース)と、Gemini 1.5 Pro・RAG・YFinanceを組み合わせた金融分析機能の2本柱で構成される。
  • Glance社はGoogle・Jio Platforms・Mithril Capitalの出資を受けており、金融を皮切りに多業界へAIを統合する「Fusion State Systems」構想を掲げる。
  • 日本市場での成否は、プライバシー保護への配慮とローカライズの深さ、そして「押し付けがましさ」を感じさせない体験設計にかかっている。

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